2008年4月29日火曜日

ギュルツォー専門談話シリーズ第28巻:バイオ原油(Biocrudeoil (BCO))

 4月25日(金)、ハノーファーメッセを訪問した。エネルギー関連の製品の展示もあり、関連企業や団体のブースも開設されていたことから、最新技術・情報の把握のための視察だった。E10の2009年導入中止決定後の情報が欲しかったのだが、産業見本市でもあり、また決定後日が経っていないこともあってか、めぼしい情報は得られなかった。
 しかし去年の暮れにインタビューで訪問したことのある再生資源協会(FNR)のブースで、そのとき説明を担当してくれたヴィンケルマン氏に会い、言葉を交わすことができた。氏は、バイオ燃料への批判が高まっていることから、最近は説明に忙しいそうだ。バイオ燃料に関して、何か新しい資料は?と尋ねたところ、タイトルに挙げた資料を渡してくれた。原語ではGülzower Fachgespräche, Bd.28, Biocrudeoil。
 Biocrudeoil:バイオ原油(BCO)とは聞き慣れないものだが、第二世代のバイオ燃料であるBtLがワンステップで規格準拠の燃料になるのに対して、こちらはそこまでは行かないが、熱化学分解によって生産される液体エネルギー源(キャリアー)である(とりあえず「バイオ原油」と訳しておくが、何かもっと適当な用語があれば、いずれ紹介する)。1.5世代と言ったところだろうか。BCOは、石油との同時精製が可能な他、BCO専用エンジンでも利用できる。第二世代のバイオ燃料の生産量増大、普及はまだ先になるとすれば、当面の注目株というところだろうか。

資料の目次は以下の通り。

 前書き 5

 導入と基盤
  熱分解の現状と、エネルギー利用のための「バイオ原油」(BCO)生産
  バイオマスの直接液状化研究の総括 ミ 反応メカニズムと製品の分配
  バイオマスの熱分解におけるメカニズムと反応

 プロセス
  HAW Hamburgの開発を例としたバイオマスの直接液状化
  PyTecの融除フラッシュ熱分解 ミ 最初の経験と製品特性
  カールスルーエ研究センターのbioliqィプロセスでの高速熱分解
  バイオマスに関する触媒変換プロセス

 応用
  石油加工におけるバイオマス熱分解油の同時精製
  エンジンでのBCO利用
  討論結果と総括


この資料は、再生資源協会(FNR)のサイトの文献(Lieteratur)から無償でダウンロードできる。
再生資源協会サイト:http://www.bio-kraftstoffe.info/cms35/Literatur-Downloads.920.0.htmlから。

またhttp://www.bio-kraftstoffe.info/cms35/Aktuelles.913.0.html(最新情報)には、この資料の紹介記事もある。Biocrudeoil - flüssige Bioenergie wird interessant(2008年4月24日)

2008年4月28日月曜日

Butalco GmbHとVolkswind GmbHが提携

 フランクフルト総合大学のスピンオフ企業Butalco GmbH(ブタルコ有限会社)が、ニーダーザクセンのVolkswind GmbH(フォルクスヴィント有限会社)の投資を受け、リグノセルロースの発酵によるブタノール製造プロセスの開発を進めることになった。
 Butalco GmbHは、フランクフルト総合大学のEckhard Boles教授とそのパートナーのDr. Gunter Festelが2007年に設立した企業であり、一方Volkswind GmbHは、風力エネルギー分野ではヨーロッパ有数の企業に属する。前者の遺伝子組み換え酵母菌を使ったプロセスでは、植物性廃棄物(木材、藁、竹など)からブタノールを製造することが可能であるが、二企業が協力してプロセスを産業利用なレベルにまで発展させ特許取得を目指す。その上で、この技術をバイオ燃料生産者にライセンス供与することが目標とされている。
 このプロセスは、食糧生産と競合しない植物性廃棄物からのバイオ燃料製造が可能になるという利点の他に、バイオエタノールよりも利便性に優れたブタノールを生産できるという利点も持ち合わせている。ブタノールは、従来の自動車にも改造しなくてもそのまま給油でき、また従来の燃料との混合にも問題がない(以上の情報:http://www.sonnenseite.com/index.php?pageID=6&news:oid=n9976&template=news_detail.html&flash=true)。

 問題があるとすれば、遺伝子組み換えを施した酵母菌を使うことだろうか。

2008年4月20日日曜日

Lurgi GmbH(Lurgi有限会社)が、MtS法を用いたパイロットプラントを建設

 Lurgi GmbH(Lurgi有限会社)は、プロセス技術およびプラント建設の分野で活動する世界的企業で、ガス技術、石油化学、動力燃料、プラスティック、バイオ燃料、Oleochemie(植物性油脂化学)を重点分野としているが、このほどドイツの北部、Volkswagen社の拠点として有名なヴォルフスブルク(Wolfsburg)にBtLのためのパイロットプラント建設を決めた。これによりBtLプロセスチェーンの最終ステップが検証される。

 バイオ燃料の製造工程としてはFischer-Tropisch(FT)合成法が有名だが、このパイロットプラントではMethanol to Synfuel(MtS)法が用いられる。この合成法は、FT法に比べ、知名度は低いものの柔軟性において将来を期待されている。Lurgi社は、そのフィージビリティーをMtSパイロットプラントの建設によって証明しようと考えている。

 ヴォルフスブルクで計画されているLurgi社のプラントは、バイオマスをベースとしたメタノールをディーゼルおよびガソリンエンジン用燃料に変換するもの。この最終ステップにより、BtL燃料生産のプロセスチェーンが完成する。Lurgi社は、このMtSパイロットプラントに、同社がこれまでに蓄積してきたプロセスのノウハウとテクノロジーを投入する。同社は実験プラントで成果を上げており、そのプロセスの中には、改良を加えられ大規模技術的に利用されてきたものもある。そして今、その実験プラントが20倍に拡大され、改良を受けて、全体のプロセスに統合されることになった。

 Lurgi GmbHは、Süd-Chemie AG、Volkswagen AGをこのプロジェクトのパートナーとしており。Süd Chemie社は触媒技術を担当し、Volkswagen社が経済性と二酸化炭素削減ポテンシャルを分析し、製造されたBtL燃料の包括的な検証を引き受ける。また、Volkswagen Kraftwerk GmbH(Volkswagen発電所有限会社)(Volkswagen AGの完全子会社)もプラントの稼働に協力する。

 このプロジェクトは、2008年4月1日にスタートしたが、施設の建設は、エネルギーエンジニアリングとそのフィージビリティー調査の後、2009年に開始される。計画されている一連の試験は、2011年に終了することになっている。

 このプロジェクトには、連邦農業省(BMELV)の委託を受けた再生資源協会(FNR)から450万ユーロの助成金が投じられる。


情報の出所:再生資源協会(FNR)(http://www.fnr.de)
Lurgi GmbHのサイト:http://www.lurgi.com

2008年4月18日金曜日

VERBIO Vereinigte BioEnergie AG(VERBIO統一バイオエネルギー株式会社(直訳))

 2008年のハノーファー国際見本市に出展する企業の一つとして、この企業を紹介する。

 VERBIOグループは、バイオ燃料の生産および供給を行っているヨーロッパ有数の企業。バイオディーゼルとバイオエタノールの両方を扱う企業としてはヨーロッパで唯一の大規模産業的生産者といえる。
 現在の年間生産能力は、バイオディーゼルが約45万トン、バイオエタノールが約30万トンである。この企業は、バイオディーゼルとバイオエタノールの生産において、独自開発した生産工程とイノベーションを利用している。
 その製品は、ヨーロッパの石油産業、石油取引企業、独立系給油所、運送業社に直接供給している。その他、食品・化粧品産業への薬用グリセリンの販売も手がけている。グリセリンは、バイオディーゼル生産の際の副産物として得られる。
 グループ内では、VERBIO Vereinigte BioEnergie AGが、持ち株会社の位置を占めグループ全体のマネージメントを担当し、その下で子会社でであるVERBIO Diesel Bitterfeld GmbH & Co. KG、VERBIO Diesel Schwedt GmbH & Co. KG、VERBIO Ethanol Schwedt GmbH & Co. KG、VERBIO Ethanol Zörbig GmbH & Co. KG、VERBIO STS AGが、生産や販売に当たっている。
 この情報は、2008年4月17日現在のもの。

企業のホームページ:http://www.verbio.de/desktopdefault.aspx
Clean Move Expo:http://www.cleanmoves.com/page2.html

2008年4月17日木曜日

ザクセン州で農林業廃棄物からのバイオ燃料生産 - 世界初?

 4月15日には、EUはバイオ燃料の原料生産のための補助金を打ち切るだろうとの報道があったばかりだが(Handelsblatt No.73(2008年4月15日)、6ページ)、17日には農林業廃棄物を原料としてバイオ燃料を生産する施設が稼働を開始すると報じられた(kfz-betrieb:http://www.kfzbetrieb.de/news/kb_beitrag_5808277.html)。いわゆる第二世代のバイオ燃料となるが、商業的生産としては「世界初」とのことだが、日本には既に同様の施設があるので、農林業廃棄物を利用するものとしては世界初、ということなのか、あるいは日本での事例が知られていないということだろう。
 場所はドイツ東部ザクセン州のフライベルク。施設はChoren社によるもので、生産される製品はSun-Diesel。Choren社へは、自動車産業からはベンツとVolkswagen、石油産業からはShellが資本参加している。
 施設のオープンに際し、ドイツ自動車工業会会長のWissmannが、持続可能条件の前提となり、食糧生産と競合しない第二世代のバイオ燃料の生産開始を歓迎した。

 フライベルク(Freiberg)は、ザクセンワインの生産地として有名。環境都市として有名なドイツ西部の都市は「フライブルク(Freiburg)」でこれとは別。Choren社は、ドイツ東部工業都市シュヴェート(Schwedt)でもBtLプラントを計画中。

2008年4月8日火曜日

2009年のE10導入、ついにストップ - バイオ燃料政策は継続

 2008年4月4日、ドイツ連邦環境相ガブリエルは、ついにE10導入を断念すると記者会見で発表し、ドイツのテレビニュース、新聞各紙はそれを報じた。
 導入断念の直接の引き金となったのは、10%のバイオエタノールを配合したガソリンE10に耐えられない車両の数であった。別の記事でも書いたが、E10に耐えられない自動車数は100万台以上、ことによると300万台以上に上る可能性が出てきた。それらの車両はE10が導入された場合、高価なSuper-Plusガソリンを給油するしかない。環境大臣は、環境政策のせいでそれほど多くの自動車にSuper-Plus給油を強制することはできないとE10断念の理由を説明した。
 同日の環境省プレスリリースは、このことを報じているが、断念の理由は上記のことであって、バイオ燃料のための原料生産/栽培が引き起こす環境破壊ではないと弁明し、E10の2009年導入は断念するが、バイオ燃料に関する政府の方針は変わらないと伝えている。
 E10導入中止は自動車産業にとって痛手であり、2012年以降の自動車からの二酸化炭素排出限度120 g/kmに対して、自動車産業はCO2ニュートラルのバイオ燃料の助けは今のままで、残りは技術開発だけで対処しなければならなくなったと、E10断念の意味を説明した。

 環境省は、今後のバイオ燃料政策として以下の点を挙げた。
1. ライプツィヒでのバイオマス研究に予算追加
2. 持続性確保令の整備
3. ヨーロッパ内でのリーダーシップの維持
4. (持続性確保令による)認証導入までの移行規則の確保
5. 持続的バイオエネルギーに関するパートナーシップ
6. 専門的実践の継続
7. バイオ廃棄物利用の促進

情報の出所:連邦環境・自然保護・原子炉安全省プレスサービス No.052/08(翻訳あります。ご希望の方は管理人までお知らせ下さい)

2008年4月3日木曜日

E10に黄色信号 - 2009年の導入開始が微妙に

 2008年4月2日、ドイツの新聞やテレビは2009年にE10を導入するための政令が停止されるかもしれないと報じた。これは連邦環境相ガブリエルの発言に基づくものだが、その理由はE10に耐えられない自動車が予想以上に多い可能性があり、しかもその数が把握できていないからだということだ。
 自動車産業サイドは、その数値を報告しておらず、全ドイツ自動車クラブ(ADAC)によれば300万台以上がE10に対応していないとのことだ。このことは既に連邦環境省のプレスリリースで発表されていたが、大臣の発言により可能性が強まったと言えるだろう。

※その連邦環境省プレスリリース(3月28日)の翻訳あります。ご希望の方は管理人までお知らせください。

2008年4月1日火曜日

社名変更は何の現れ?

 Weltインターネット版(2008年3月11日)の報道によると、バイオディーゼル生産で事業を開始していたBKN Biokraftstoff Nord AG(直訳すると「BKNバイオ燃料北株式会社」)が、バイオガス施設事業への事業戦略変更にともない、BKN Biostrom AG(直訳すると「BKNバイオ電力株式会社」)に社名を変更した。同時に事業所所在地をGifhorn近郊のSprakensehl-BokelからVechtaに移した。その地は、1年ほど前に吸収した子会社、バイオ電力エネルギーグループ(Biostrom Energy Group)の本拠地だった場所。
 輸送用バイオ燃料は、そのCO2ニュートラルな性質と交通分野での再生可能エネルギー投入が注目され、世界的プームとなりつつあったが、最近では生態系を破壊する危険性があるとして風当たりも強い。上記のソースからはわかないが、バイオ燃料だけ、あるいはそれに比重を置くことに企業も将来への不安を抱えているということだろうか。

情報の出所:Welt-Online (2008.03.11):http://www.welt.de/welt_print/article1784976/Wirtschaft.html
参考リンク:BKN Biostrom AG:http://www.bkn-ag.de