再生資源協会(FNR)のプレスリースによると、昨年夏に完成したカールスルーエのBTLパイロットプラントが、ドイツ経済技術革新大賞にノミネートされたとのことだ(2008年1月16日)。
このプラントは、藁をはじめ農業、林業から出るバイオマスを高速熱分解(Schnellpyrolyse)によって液状化するというもの。この実験プロジェクトは、FNRを介して連邦農業省の助成を受けて行われているが、バイオマスが、通常はエネルギー密度が低く、しかも分散してしか発生しないという特徴を持った物質であることを念頭に進められている。つまりバイオマスの獲得が集中的ではなく分散しており、従来の化学工業的なスケールメリットに繋がらないのを、バイオマスの商業的利用の際に、どうやって克服するかということがポイントのようだ。液状化すれば、パイプラインを通じてコストをかけずに精製施設にまで運べるということなのだろう。
この実験プラントでは、液状化という最初のステップに続いて、精製や供給といった施設を加え、農地から給油機までのプロセスをデモンストレーションするということだから、ドイツ国内ないしヨーロッパ規模での「地産地消」に貢献することだろう。世界規模でのバイオ燃料原料流通が主流となると世界的な環境破壊に繋がりかねないが、このプラントが描くような再生可能燃料の未来は許容範囲だろうか。
「経済技術革新大賞」の発表は、19日にフランクフルトのアルテ・オーパー(旧オペラ座)で行われる。私がこの記事を書いているのは、1月31日だが、このプロジェクトが大賞に輝いたという情報は、FNRのサイトには出ていない。
情報の出所:FNRのプレスリリース【最新ニュース】※プラントの写真有り
2008年1月31日木曜日
2008年1月22日火曜日
バイエルンのEU担当大臣がEUのバイオ燃料割当目標に反対?
2008年1月16日付けのSPIEGEL-Onlineの記事は、近く発表されるEUのバイオ燃料割当目標(2020年までに輸送用燃料の10%をバイオ燃料で)にバイエルンのEU担当大臣ゼーターが反対を表明していると報じた。
理由は、そのためのバイオ燃料の原料となる作物(トウモロコシ、アブラナ、甜菜、サトウキビ、アブラヤシなど)を自給できないEUが、急激にバイオ燃料の消費を増やせば、それに応じるために世界の各地、特に熱帯雨林地帯、つまりジャングルでプランテーション開発が盛んになり、二酸化炭素排出の節約分など相殺されてなおあまりある温室効果ガス収支の悪化が起き、さらにはその地域の労働者の労働環境、世界の貧困地域への食糧供給を損なうというのだ。
このこと自体は、もっともなことで、バイエルンあっぱれ、と言いたいところだが、SPIEGEL-Onlineの記事は、うがった見解を匂わせている。つまり、その大臣には、ドイツ、特に南ドイツの自動車産業(つまりメルセデスとBMWということですな)を擁護する姿勢があり、EUによる自動車の排出規制にはそもそも反対で、そのためにイギリス、スウェーデン、ハンガリー、ルーマニアなど、部品供給を含め自動車産業が根付いているEU加盟国に向けて書簡を送り、EUによる環境規制努力を、(ドイツ自動車産業の)競争力を制限するだけで、エコロジー的には無駄な努力だとして、それに反対するロビー活動をしているそうだ。これもありそうな話だから政治は複雑怪奇。
ドイツを含めEUも、バイオ燃料によって世界環境がかえって悪化するような結果を招かないための、エコロジーに配慮した原料栽培の認証システム作りに取り組んでいる。それが十分に機能するものであることを期待する。
理由は、そのためのバイオ燃料の原料となる作物(トウモロコシ、アブラナ、甜菜、サトウキビ、アブラヤシなど)を自給できないEUが、急激にバイオ燃料の消費を増やせば、それに応じるために世界の各地、特に熱帯雨林地帯、つまりジャングルでプランテーション開発が盛んになり、二酸化炭素排出の節約分など相殺されてなおあまりある温室効果ガス収支の悪化が起き、さらにはその地域の労働者の労働環境、世界の貧困地域への食糧供給を損なうというのだ。
このこと自体は、もっともなことで、バイエルンあっぱれ、と言いたいところだが、SPIEGEL-Onlineの記事は、うがった見解を匂わせている。つまり、その大臣には、ドイツ、特に南ドイツの自動車産業(つまりメルセデスとBMWということですな)を擁護する姿勢があり、EUによる自動車の排出規制にはそもそも反対で、そのためにイギリス、スウェーデン、ハンガリー、ルーマニアなど、部品供給を含め自動車産業が根付いているEU加盟国に向けて書簡を送り、EUによる環境規制努力を、(ドイツ自動車産業の)競争力を制限するだけで、エコロジー的には無駄な努力だとして、それに反対するロビー活動をしているそうだ。これもありそうな話だから政治は複雑怪奇。
ドイツを含めEUも、バイオ燃料によって世界環境がかえって悪化するような結果を招かないための、エコロジーに配慮した原料栽培の認証システム作りに取り組んでいる。それが十分に機能するものであることを期待する。
2008年1月21日月曜日
はじめに
近年、世界的規模で輸送用バイオ燃料ブームが起きている。以前からバイオ燃料を生産、使用してきたブラジルばかりでなく、温室効果ガスの削減条約への署名に難色を示し続けてきたアメリカ合衆国でも、二酸化炭素収支ニュートラルといわれるバイオ燃料のための原料生産が伸びてきている。
畑でできる化石燃料代替物で持続的生産が可能、使用に際して排出された二酸化炭素は原料となる植物が大気中から固定したもの、と聞けば、クリーンな夢の未来燃料を思わせるが、喜んでばかりもいられない面もある。喜ぶどころか、温暖化以上に警戒を強めなければいけない側面も明らかになってきた。
以前から言われている食糧生産との競合の他にも、原料生産のために熱帯雨林が切り開かれ、あるいは湿原が干拓されれば、エコロジー的にも大問題となる。地球は重要な二酸化炭素吸収地を失い、あるいは地中に固定されていた炭素を大気中に放出してしまう可能性もあるのだから。
さらには原料生産のための遺伝子組み換え作物の氾濫が起きれば、食糧全体が危険にさらされ、また原料生産のためのプランテーションで過酷な労働搾取が行われているとすれば、持続的な燃料生産のメリットなど瞬く間に消えてなくなってしまうだろう。
そのような問題への対策はあるのか。EUやドイツが計画しているように、環境を破壊するような方法で生産された原料、製品を拒否するシステムを作れば十分なのか。BTLが普及すれば、食糧生産に競合しない原料の獲得が可能になるのか。これまで使われていなかった、無駄に捨てられてきた原料を利用する技術は開発できるのか。
このブログでは、そういった問題に対してどのような取り組みがあるのかを、管理の住むドイツのメディアによる報道や官公庁/企業からの情報をもとに明らかにしていきたいと考えている。
畑でできる化石燃料代替物で持続的生産が可能、使用に際して排出された二酸化炭素は原料となる植物が大気中から固定したもの、と聞けば、クリーンな夢の未来燃料を思わせるが、喜んでばかりもいられない面もある。喜ぶどころか、温暖化以上に警戒を強めなければいけない側面も明らかになってきた。
以前から言われている食糧生産との競合の他にも、原料生産のために熱帯雨林が切り開かれ、あるいは湿原が干拓されれば、エコロジー的にも大問題となる。地球は重要な二酸化炭素吸収地を失い、あるいは地中に固定されていた炭素を大気中に放出してしまう可能性もあるのだから。
さらには原料生産のための遺伝子組み換え作物の氾濫が起きれば、食糧全体が危険にさらされ、また原料生産のためのプランテーションで過酷な労働搾取が行われているとすれば、持続的な燃料生産のメリットなど瞬く間に消えてなくなってしまうだろう。
そのような問題への対策はあるのか。EUやドイツが計画しているように、環境を破壊するような方法で生産された原料、製品を拒否するシステムを作れば十分なのか。BTLが普及すれば、食糧生産に競合しない原料の獲得が可能になるのか。これまで使われていなかった、無駄に捨てられてきた原料を利用する技術は開発できるのか。
このブログでは、そういった問題に対してどのような取り組みがあるのかを、管理の住むドイツのメディアによる報道や官公庁/企業からの情報をもとに明らかにしていきたいと考えている。
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